2019年09月01日号
次回9月17日更新予定

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ミニアチュール

Miniature(英)(仏)

語源の異なる二つの概念に用いられる名称で、西洋中世における彩色写本の挿絵、もしくは小型の画面に描かれた細密画を指す。写本とは手書きで写された本のこと。各章の表題(とくに頭文字)を赤く彩色して際立たせるため、鉛丹(minium:ラテン語)を用いたことがこの名の由来となった。15世紀になるとグーテンベルクによる活版印刷が普及し、経済性が追求された結果、一点の製作に多大な労力を費やす写本の文化は衰退する。ミニアチュールの概念には「最小(minimum:ラテン語)」「小型の(mignon:仏・英語)」という語が結びつき、ヴェラム、象牙、厚紙などに描かれた小型の細密画、もしくは単に小さいサイズの油彩画や、エマーユ(七宝)などの愛玩用絵画を指すようになった。16世紀末には楕円形の形態によるミニアチュールが流行。また、枠に高価な宝石があしらわれたりロケットに仕立てられるなど、装飾品のかたちをとる場合が多い。個人にとって特別な意味をもつ画像、親密な領域に属するイメージを持ち運びできるという点では、家具調度に類する油彩画と対比的である。しかし、19世紀に発明されたダゲレオタイプ(銀板写真)がこの利点を担うようになると、ミニアチュールの文化も一挙に廃れていった。

著者: 中島水緒

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