2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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メール・アート

Mail Art

1960年代以降、それまで美術関係者同士で行なわれていた手紙や葉書による展覧会案内状の郵送という慣例が、作品それ自体やそれに類するものを郵便物として送るという芸術表現の手法として取り入れられたものの総称。世界的な流通・交通網の発達と関連をもち、遠距離間のコミュニケーションやネットワークへの作家の欲望がうかがえる。メール・アートの代表例としては、フルクサスのメンバーであるレイ・ジョンソンが、62年に「メール・アート宣言」を行なっており、日本では具体美術協会の嶋本昭三が55年に創刊された機関紙『具体』を送付した例や、赤瀬川原平と和泉達が未来の新聞記事を模したビラを郵送するハイレッド・センターのイヴェント「通信衛星は何者に使われているか」(1964)、2枚の絵葉書に起床した時間と、作家の滞在地の住所、送付先住所がスタンプで押され投函される河原温の「I Got Up」シリーズ(1968-79)などが挙げられる。メール・アートは、美術館や美術関係者といった制度の外部で実施される実験的活動という点において、美術の表現領域の拡大とともに、より社会への直接行動を可能とし、伝統的な芸術制度と社会双方を揺るがせる要素を持ちえている。

著者: 森啓輔

参考文献

  • 『美術手帖』4月号, 「フルクサス」, 暮沢剛巳, 美術出版社, 2008

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