2019年09月15日号
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モノタイプ

Monotype

版画技法の一種。ガラス、金属板、アクリル、塩ビ板など平滑な支持体に図を描画し、乾燥前にその上に紙を載せてからこするかプレス機にかけることで図を転写する。彫りなどの製版作業が不要であること、等質の刷りを繰り返すことができないため呼称の通り一枚のみ(モノ)の作品となることが特徴であり、複数性を大きな特徴とする版画にあっては特異な技法である。結果は方法によって多様だが、版を介すことで直接描画するだけでは得られないかすれや奥行きが生まれる。版による表現が注目を浴びて多くの実験がなされた17世紀が生んだ技法のひとつであり、純粋なモノタイプは1640年代半ばのG・カスティリオーネの作例が初とされる。18世紀にW・ブレイクはこの技法の幻想的な表情を活かし、19世紀後半にはE・ドガとP・ゴーギャンがモノタイプをリバイバルさせた。とりわけドガは銅板に直接描いた図を拭ったり手を加えることで微妙なグラデーションを生み出し、この技法の可能性を広げた。20世紀にはP・ピカソ、H・マティスをはじめとしてF・ステラやJ・ジョーンズなど、さまざまな作家がこの技法を試みている。類似の用語に「モノプリント」がある(同義語とされる場合もある)が、こちらは手彩色やコラージュを加えて一点ものとした版画や、版の脆弱性や可変性のため印刷が反復不能な版画を指す。

著者: 成相肇

参考文献

  • 『版画事典』, , 室伏哲郎, 東京書籍, 1985
  • 『改訂版 版画の技法と表現』, , 町田市立国際版画美術館編, 町田市立国際版画美術館, 1991
  • 「アメリカとヨーロッパの版画:シルクスクリーンとモノタイプ」展カタログ, , , 町田市立国際版画美術館, 1993

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