2019年06月15日号
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モンタージュ

Montage

映画技法で、複数の映像の断片を組み合わせてひとつの連続したシーンを作る方法。モンタージュは映画の初期に発明され、その後1920年代には、一方でドイツ表現主義やロシア・アヴァンギャルド、そして他方では初期ハリウッドで、単なる表現手法を超えた思想や政治的な志向を反映する方法論として発展した。二つのモンタージュはいわば逆のイデオロギーや美学に基づいている。ハリウッド型のモンタージュは主にアメリカの映画作家D・W・グリフィスに代表されるが、ひとつのシーンの連続性を失うことなく、それを複数の視点から構成することで、ダイナミックなイメージを作り出すというものである。この場合は、なめらかなモンタージュによって観客に違和感を感じさせることなく、その意図は映像の背後に隠されたままになされなければならない。一方、ソ連の映画作家セルゲイ・エイゼンシュテインに代表されるヨーロッパ型のモンタージュは、より作家性や左翼的なイデオロギーと結びついており、むしろ観客の安定した日常を揺さぶり、それを積極的に問いかけるものとして提示された。その後モンタージュは、アンドレ・バザンやヌーヴェル・ヴァーグ派が『カイエ・デュ・シネマ』誌で展開した映画をめぐるリアリズム論争において、リアリティを失わせ、虚偽的なイメージを捏造するものとして批判されていくが、そのようなリアリズム対モンタージュという対立構造は、もはや有効ではないといってよいだろう。特にエイゼンシュテインのモンタージュ論は、単なる映像形式的な方法論を超えて、いわば映像というメディアそのものの本質を思想として捉え、開発していこうとする試みであった。その内容は現在では通用しない部分が幾分ありながらも、その広い教養と深い洞察に根ざした映像的な思想そのもののダイナミズムを、むしろ新しい射程において捉え直すことこそが、現代の課題であろう。

著者: 河合政之

参考文献

  • 『エイゼンシュテイン全集』, S・M・エイゼンシュテイン(エイゼンシュテイン全集刊行委員会訳), キネマ旬報社, 1974-94
  • 『映画の教科書 どのように映画を読むか』, ジェイムズ・モナコ(岩本憲児訳), フィルムアート社, 1983

参考作品

  • 『戦艦ポチョムキン』, セルゲイ・エイゼンシュテイン, (1925)
  • 『イントレランス』, D・W・グリフィス, (1916)

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