2019年09月01日号
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ユニヴァーサル・スペース/均質空間

Universal Space

ミース・ファン・デル・ローエが提唱した、床および天井と、最小限の柱と壁で構成される、どのような用途にも対応できる空間。ミースはバウハウスの閉鎖(1933)後、アメリカに活動の場を移すと、《バルセロナ・パヴィリオン》(1929)で実現した、水平スラブと柱、最小限の壁とガラスで構成するワンルーム型の建築を追求していく。必要に応じて、間仕切りや家具を配置することで、いかなる用途にも対応できるようにつくられた空間は、「ユニヴァーサル・スペース」と呼ばれ、《ファンズワース邸》(1951)、《イリノイ工科大学クラウンホール》(1956)、《シーグラムビル》(1958)などで実現された。ミースは、空間の使い方は利用者に任されるべきで、建築により規定するべきではないとの考えから、ユニヴァーサル・スペースの正当性を主張した。実際、オフィスビルにおいては、ミースが「事務所の組織に従って分節された明るくて広い空間によって、最大の効果を得る」と言うように、その平均性・均質性から、世界中に伝播し、現在のオフィスビルのモデルとなった。一方で、ロバート・ヴェンチューリが著書『建築の多様性と対立性』(1966)において、ミースの最も有名な言葉「Less is more」をもじり、「Less is bore」と皮肉ったように、ユニヴァーサル・スペースを、世界中にある退屈で均質な建築物を氾濫させた原因だと批判する者も少なくない。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『ミースという神話 ユニヴァーサル・スペースの起源』, 八束はじめ, 彰国社, 2001
  • 『ヒト、空間を構想する 都市/住居論講義』, 原広司、黒井千次, 朝日出版社, 1985
  • 『建築という冒険』, エーアンドエー, 2004
  • 『磯崎新の建築・美術をめぐる10の事件簿』, 磯崎新、新保淳乃、阿部真弓, TOTO出版, 2010
  • 『建築の多様性と対立性』(SD選書), 鹿島出版会, ロバート・ヴェンチューリ(伊藤公文訳), 1982

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