2020年06月01日号
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ライヴ・コーディング

Live Coding

ライヴ・コーディングは、プログラム言語を直接操作し、その場で実行することで音や映像を生成するパフォーマンスのことを指す。1990年代に始まったポータブルなコンピュータを用いたパフォーマンスの姿勢を継承しつつ、同時にそれに対する批判として始まった。その歴史や状況は、2004年に立ち上げられたTOPLAPのサイトに詳しい。「スクリーンを見せよ(Show Us Your Screens)」というモットーは、特に重要だ。演奏者と観客が同じものを見ていること。その同じもの=デスクトップこそが身体であること。プログラムコードを見えるようにすることで、それを市民の手に取り戻すこと。そこには、コンピュータやソフトウェアをブラックボックスにしてはいけない、という強い意志と主張が感じられる。ライヴであることは、それが即興でもあるということだ。コーディングの本性がアルゴリズムによる抽象化であるように、ライヴ・コーディングは「形式(化)を即興するとはどういうことか」という問いを提起する。実際、ライヴ・コーディングの実践に必要とされているのは、タイピングの速度ではなく、思考の速度である。12年にはライヴ・コーディングとレイヴを結びつけた Algoraveイベントが始まり、メキシコや日本をはじめとする世界各地に派生しながら精力的な活動が拡がっている。そこでは、ダンスカルチャーを軸としながらも、その枠に収まらない、さまざまな音楽的実験が試みられている。

著者: 久保田晃弘

参考文献

  • 『遙かなる他者のためのデザイン 久保田晃弘の思索と実装』, , 久保田晃弘, ビー・エヌ・エヌ新社, 2017
  • 『演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践 Show Us Your Screens』, , 田所淳, ビー・エヌ・エヌ新社, 2018
  • The Oxford Handbook of Algorithmic Music, , Alex McLean、Roger T. Dean, Oxford University Press, 2018
  • Speaking Code: Coding as Aesthetic and Political Expression, , Geoff Cox、Alex McLean, The MIT Press, 2012

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