2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

Artwords(アートワード)

twitterでつぶやく

ラファエル前派

Pre-Raphaelite Brotherhood

1848年のイギリスにおいて3人の画家、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイ(英語読みではミレース)を中心に、ウィリアム・マイケル・ロセッティ、フレデリック・スティーヴンズ、ジェームズ・コリンソン、トマス・ウールナーを加え結成されたグループ。「ラファエル前派兄弟(同盟)団(Pre-Raphaelite Brotherhood)」という名前は、彼らがラファエロ(1483-1520)以前の初期ルネサンスやフランドル芸術を規範としたことに由来し、「兄弟団」と名乗ることでグループの結社的な性格を表わした。初期ルネサンスやフランドル絵画に見られる豊かな色彩と精密な自然描写に理想を見出す一方で、アカデミーの規範となっているラファエロ以降の16、17世紀のルネサンスおよびそれ以降の芸術を、構図、色彩などすべてにおいて表現方法が規制された抑圧的で不十分なものと考えた。このような考え方は19世紀初頭のナザレ派に先例をもつとされているが、彼らの思想は、ジョン・ラスキンの『近代絵画論』第1巻(1843-69、全5巻)における「芸術は自然に忠実であるべきだ」という主張に刺激されたものである。1849年3月に、この団体の頭文字「PRB」とともに初めて展覧された作品は、ロセッティの《聖処女マリアの少女時代》ある。翌年、この頭文字の意味が公にされ、ラファエル前派はルネサンス以降続くアカデミーの伝統を拒否したため厳しい非難を浴びるが、『近代絵画論』における自らの主張を体現しようとしたこの若い画家たちをラスキンは擁護した。次第に彼らは社会に受け入れられるようになったが、グループ自体は長続きしなかった。絵画、装飾芸術、工業デザインなどそれぞれの道を歩むようになる彼らだが、その後世に与えた影響は計り知れず、特に絵画においては象徴主義の最初の一派として評価されている。

著者: 小野寛子

参考文献

  • 『世紀末芸術』, 高階秀爾, 紀伊国屋書店, 1963
  • 『象徴主義と世紀末芸術』, ハンス・H・ホーフシュテッター(種村季弘訳), 美術出版社, 1970
  • 『世紀末の夢 象徴主義芸術』, フィリップ・ジュリアン(杉本秀太郎訳), 白水社, 1982
  • 『世紀末の美学』, 河村錠一郎, 研究社出版, 1986

関連ワード

関連人物

▲ページの先頭へ

アートワード検索

アートワードを検索

文字の大きさ