2019年12月01日号
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ロシア・アヴァンギャルド(建築)

Русский авангард(露), Russian Avant-garde(英)

1910年代、ロシアにおける社会主義革命運動と連動して興った総合芸術運動。構成主義とシュプレマティスムを中心としたこの運動は、絵画、デザイン、文学など多分野に拡大した。建築におけるロシア・アヴァンギャルドの代表的な例は、ウラジーミル・タトリンによる「第三インターナショナル記念塔」(1919)である。革命のモニュメントとして、構造体に付設された立方体、三角錐、円錐形の各施設が異なる速度で回転する、高さ300メートルに達する螺旋状の鉄塔が構想された。ロシア構成主義を代表する作家のタトリンはシュプレマティスムの創始者であるマレーヴィチとともにロシア・アヴァンギャルドの隆盛期を先導した。エル・リシツキーはマレーヴィチから強い影響を受け、プロパガンダの装置である《レーニン演説台》(1920)では、構造体の斜めのラインを強調しつつ、シュプレマティスムの原理を応用した単純幾何学の建築化が試みられた。20年代半ばに入ると、コンスタンティン・メーリニコフが出現する。《メーリニコフ自邸》(1929)に見られるようなシリンダー状の連結した造形もまた、単純な幾何学が支配している。その後30年代に入り、建築におけるアヴァンギャルド運動は終息へと向かう。スターリンによる運動そのものへの政治的抑圧と言説や理念の難解さによる一般大衆からの不支持などの要因によって、行き詰まりを迎える。その後、ロシア・アヴァンギャルドの造形的な特徴は80年代になってザハ・ハディドやレム・コールハースなどデコンストラクティヴィズムの建築家に影響を与え、安定した構成を崩していく非対称な幾何学的形態はロシア構成主義との類似性が指摘されている。

著者: 江川拓未

参考文献

  • 『ロシア・アヴァンギャルド建築』, 八束はじめ, INAX出版, 1996
  • 『夢みる権利 ロシア・アヴァンギャルド再考』, 桑野隆, 東京大学出版会, 1996

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