2019年08月01日号
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ロシア・アヴァンギャルド(美術)

Русский авангард(露), Russian Avant-garde(英)

1890年代から1930年代にかけて興隆したロシアにおける一連の前衛芸術運動および運動を担った芸術家のこと。文学、演劇、美術、音楽、建築、映画、デザインなどの複数の領域におよび、未来派、シュプレマティズム、構成主義などのさまざまな流派を含む。「アヴァンギャルド」はフランス語の前衛、先鋒に由来し、芸術実践や理論の根本的な革新、過去と伝統からの断絶、新奇な内容や手法の探求、社会との積極的な関わりなどを特徴とする。ロシアの場合、1917年の社会主義革命に呼応して盛り上がりを見せ、教育人民委員のアナトリー・ルナチャルスキーによる芸術の多様性を庇護する政策の元に開花した。ロシア・アヴァンギャルドはそれぞれが独立した現象や人物、コンセプトや理念、流派を包括的に指す用語である。初期に活躍したのは「ダイヤのジャック」「ロバの尻尾」「標的」などのネオ・プリミティヴィズムのグループである。15年頃になるとシュプレマティズムを標榜したカジミール・マレーヴィチと構成主義の基礎を築いたウラジーミル・タトリンが美術におけるロシア・アヴァンギャルドの二大潮流の中心をなした。21年頃からはアレクサンドル・ロトチェンコやリュボーフ・ポポーワらによる構成主義が興隆する。また絵画と密接に関わりながら、10年代には詩人のウラジーミル・マヤコフスキーや詩人で画家のダヴィド・ブルリュークらによる未来派が文学の領域で活動を行なった。マヤコフスキーは23年には国立出版局の援助を受けて雑誌『レフ』を、27年には『新レフ』を創刊し、これらの雑誌は映画、演劇、造形芸術、文学の理論が展開されるロシア・アヴァンギャルドの舞台となった。30年頃になると、フォルマリズム批判などスターリン時代の政治的な抑圧や運動そのものの行き詰まりにより終息を迎えた。

著者: 河村彩

参考文献

  • 『ロシア・アヴァンギャルド小百科』, タチヤナ・ヴィクトロヴナ・コトヴィチ(桑野隆監訳), 水声社, 2008
  • 『ロシア・アヴァンギャルド』, 亀山郁夫, 岩波新書, 1996
  • 『夢見る権利 ロシア・アヴァンギャルド再考』, 桑野隆, 東京大学出版会, 1996
  • 『ロシア・アヴァンギャルド 未完の芸術革命』, 水野忠夫, PARCO出版, 1985
  • 『ロシア・アヴァンギャルド芸術 理論と批評 1902-34年』, J・E・ボウルト編(川端香男里訳), 岩波書店, 1988

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