2019年10月01日号
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ヴィデオ・アート

Video Art

ヴィデオのみを使用した、もしくはヴィデオを作品の一部において使用した芸術全般を指す。ただし録画機能を使用せずにモニター/ヴィデオ・カメラのみを使用した作品もヴィデオ・アートに含まれる。ヴォルフ・フォステルの『あなたの頭の中の太陽』(1963)や、ナム・ジュン・パイクの個展「音楽の展覧会 エレクトロニック・テレビジョン」(1963)のようなモニターを使用した先駆的な試みや、1965年に登場した初の携帯型ヴィデオ機器「ポータパック」によって撮影・録画されたパイクの『ローマ法王パウロ六世のニューヨーク訪問』(1965)が、ヴィデオ・アートの始まりである。その後、各地でさまざまなバックグラウンド(実験映画、アート・アンド・テクノロジー、アクティヴィズム、現代美術など)を持った人々がヴィデオを手にして、それぞれのアプローチでヴィデオ・アートに取り組んだ。上記以外の代表的な作家としては、スタイナ&ウッディ・ヴァスルカ、ブルース・ナウマン、ジョーン・ジョナス、ゲイリー・ヒル、TVTV(Top Value Television)、アント・ファーム、ビル・ヴィオラなどがいる。同時代の日本でも松本俊夫、飯村隆彦、ビデオひろば、ビデオアース東京、山本圭吾などがヴィデオを手がけている。これら作家のコンテクストは次の傾向に大別することができる。1:テクノロジーによる映像形式の実験として(実験映画やインターメディアに関わる作家は、映像表現を拡張するものとしてヴィデオを使用した)。2:「ゲリラ・テレヴィジョン」に代表される社会的なオルタナティヴ・メディアとして(TVTVやビデオひろばなど、各国に設立されたヴィデオ・グループは、芸術にとどまらない社会的メディアとしてヴィデオを使用した)。3:造形やパフォーマンスに使用する映像メディアとして(主に造形を手がける美術家はインスタレーションやスカルプチャーにヴィデオを取り入れたり、パフォーマンス行為を再帰的に映し出すメディアとしてヴィデオを使用した)。ヴィデオは、このように多面的なバックグラウンドが重なり合うなかで展開したが、一見すると別々に見えるこれらのアプローチは、本質的にはヴィデオの即時的なフィードバックという特性に立脚するものであったといえる。その後、90年代頃からヴィデオ・アートは、コンピュータの普及によってメディア・アートに取り込まれてゆくことになる。

著者: 阪本裕文

参考文献

  • 『ゲリラ・テレビジョン』, マイケル・シャンバーグ、レインダンス・コーポレーション(中谷芙二子訳), 美術出版社, 1974
  • 『ビデオ・メーキング コミュニケーションの新しい道具』, かわなかのぶひろ, フィルムアート社, 1979
  • 『ヴィデオ 再帰的メディアの美学』, イヴォンヌ・シュピールマン(海老根剛監訳), 三元社, 2011

参考資料

  • 『Surveying the First Decade: Video Art and Alternative Media in the U.S. 1968-1980』, V.A., Video Data Bank, DVD, 1995
  • 『Vital Signals Early Japanese Video Art/ヴァイタル・シグナル 日本の初期ビデオアート』, V.A., Electronic Arts Intermix, DVD, 2010

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