2019年06月15日号
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世界遺産

World Heritage Site

1972年に締結された「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)」に基づき、ユネスコ内に置かれた世界遺産委員会が「卓越した普遍的価値」を有すると認定した文化遺産、自然遺産、あるいは文化と自然の複合遺産。78年のアーヘン大聖堂やガラパゴス諸島などの登録を始まりとして、2011年現在の登録総数は900以上に及ぶ。世界遺産は記念工作物、建造物群、遺跡などを対象とした「文化遺産」、自然の地域、動植物の生息地、自然の風景地などを対象とした「自然遺産」、文化遺産と自然遺産の両者の要素を併せ持つ「複合遺産」の3種類に分類される。また、これらのなかで、速やかに保全や修復などを行なう必要があるものは「危機遺産」と呼ばれる。世界遺産条約の目的は、価値のある遺産を国際的に保護することであり、世界遺産と認定されることで、締約国は世界基金を利用した保護活動が可能になる。1990年代に入った頃から、世界遺産は観光客の誘致に有効な手段と見なされるようになってきた。一方で、世界遺産登録に伴う観光地化による遺産の損傷や周辺環境の悪化が問題視される事態も起こってきた。ドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」では、エルベ渓谷に鉄橋を建設したことにより、景観を損ねるという理由で世界遺産からの登録を削除された。自国内での遺産の保護は条約締結国の義務であり、各国で適切な方策が模索され続けている。日本は92年に世界遺産条約を批准し、93年の法隆寺と姫路城の文化遺産としての登録、白神山地と屋久島の自然遺産としての登録を皮切りに、2011年には小笠原諸島と平泉が登録されている。

著者: 森下涼(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『世界遺産と歴史学』, 佐藤信, 山川出版社, 2005
  • 『世界遺産のいま』, 平山郁夫、石弘之、高野孝子, 朝日新聞社, 1998
  • 『世界遺産』, D・オドルリ、R・スシエ、L・ヴィラール(水嶋英治訳), 白水社, 2005

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