2019年08月01日号
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主観主義写真(主観的写真)

Subjective Photography(英), Subjektive Fotografie(独)

ドイツの写真家、オットー・シュタイネルトの企画によって、1951年にザールブリュッケン国立美術工芸学校で開催された展覧会「サブジェクティブ・フォトグラフィ」と、翌年に刊行された同名の写真集。あるいは、それらにおいて提唱された写真表現についての主張のこと。シュタイネルトは写真家が自らの自由な意志によって生みだす主観的な「写真造形」の重要性を主張。新興写真から抽象的な前衛写真、ルポルタージュ写真に至るまで、幅広い作品をその具体例として挙げ、戦前の写真界が残した成果を引き継ごうとした。この動向は日本の写真雑誌でも紹介されたが、その際に、正確には「主観的写真」と訳すべきところを、「主観主義写真」と訳されたのは、戦後の写真界を席巻していたリアリズム写真運動への対抗馬としてこの動向が期待されたことの現われであろう。シュタイネルトは日本の写真にも関心をもっており、54年に開催された「サブジェクティブ・フォトグラフィ2」展と翌年刊行の写真集には、樋口忠男、岩宮武二、石元泰博ら9名が参加。56年には「日本主観主義写真連盟」が創設され、瀧口修造、阿部展也、北代省三ら40名が会員となった。また、同年に『サンケイカメラ』主催で「国際主観主義写真」展が開催され、シュタイネルト選による14カ国75名の写真家と、日本主観主義連盟会員による写真や一般公募による写真が展示された。しかし、そうした活動の過程で生じたのは、写真造形に対する理解や態度の深化よりも、技法の形式化であった。形骸化した「主義」に対しては批判の声も数多く、50年代末には運動としての勢いを失っていった。

著者: 冨山由紀子

参考文献

  • Subjektive Fotografie, Brüder Auer, 1952

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