2019年08月01日号
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写真と原爆

Photography and Atomic Bomb

戦後日本の写真界において、広島、長崎への原爆投下という悲劇は、特権的な被写体となってきた。その代表的な写真家は、土門拳と東松照明である。土門は1958年に『ヒロシマ』(研光社)を刊行し、そこでは戦後10数年を経た広島の「現在」がドキュメントされた。原爆症に悩む被爆者を中心に、広島に残存するさまざまな原爆の爪痕を写した写真群は、土門のリアリズム写真という理念の結実であると言ってよいだろう。一方、土門に後続する世代である東松は、原水爆禁止日本協議会が刊行する『Hiroshima-Nagasaki: document 1961』(1961)のために長崎を撮影することになるが、東松のアプローチは、社会告発の色濃い土門とは異なり、原爆の爪痕をシンボライズしつつも、イメージの重層的な集合によって被爆したナガサキの記憶をあぶり出すという手法が取られている。その後も、特に広島は、今日でもなお、後続する写真家たちの取り組むべき被写体として、さまざまなアプローチが試みられている。代表的な写真家に、土田ヒロミ、江成常夫、石内都、笹岡啓子などがいる。

著者: 土屋誠一

参考文献

  • 『ヒロシマ』, 土門拳, 研光社, 1958
  • 『長崎〈11:02〉1945年8月9日』, 東松照明, 新潮社, 1995
  • 『長崎曼荼羅 東松照明の眼1961-』, 東松照明監修, 長崎新聞社, 2005
  • 『原爆と写真』, 徳山喜雄, 御茶の水書房, 2005

参考資料

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