2019年08月01日号
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写真壁画

Photomural

複数の印画紙をつなぎ合わせたり、大きく引き延ばして制作される写真で、1930年代には最新の視覚メディアとして博覧会や街頭などで設置された。移動が難しい絵画の壁画と違って、別の場所で制作して設置することができるという利点があったが、複数の印画紙の諧調を一定にするための高い技術も要求された。37年に開催されたパリ万博には、「近代生活における技巧と技術」というテーマを体現するものとして、各国パヴィリオンで写真壁画が数多く展示され、日本館では日本各地の名所と近代建築の写真などをモンタージュした《観光日本》が出品された。そのスケールと立体感で見る者を圧倒し、大勢が一度に目にすることができる写真壁画は、プロパガンダや広告の分野で頻繁に利用された。例えば42年にニューヨーク近代美術館で開催された「勝利への道」展では写真家のエドワード・スタイケンとデザイナーのヘルベルト・バイヤーによってグラフ雑誌をそのまま立体化したような展示構成がなされ、会場には写真壁画のインスタレーションが効果的に配置された。日本の写真壁画ではニューヨーク万博へ出品した《秀麗富士》(1939)や銀座の日本劇場に展示された《撃ちてし止まむ》(1943)がよく知られている。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『「帝国」と美術 一九三〇年代日本の対外美術戦略』, 五十殿利治編, 国書刊行会, 2010
  • 『報道写真と対敵宣伝 15年戦争期の写真界』, 柴岡信一郎, 日本経済評論社, 2007
  • 『撃ちてし止まむ 太平洋戦争と広告の技術者たち』, 難波功士, 講談社, 1998
  • 『戦争のグラフィズム』, 多川精一, 平凡社, 1988

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