2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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分析的キュビスム

Analytic Cubism

20世紀最大の絵画様式となるほどの影響力を持つに至ったキュビスムは、1908-09年にかけてピカソとブラックによって創始された。「分析的キュビスム」と呼ばれるのは、09-11年頃までのキュビスムの活動期間の前半部分のことである。この時期のキュビスムの特徴としては、小さな切片の複合体として対象を描き、透視図法的な形態把握の解体を推し進めたことや、形態が周囲の空間や他の形態と輪郭を共有し、互いに浸透し合う面や色調をつくりだすことなどが挙げられる。そのためこの時期の作品は基本的に褐色、灰色、黒系統などの抑制されたモノトーンの色彩に限定され、ときに対象把握が困難になるほど、画面全体の印象と形態とが混合させられている。このような絵画的実践は、形態自体の情報(客観的情報)と知覚(主観的情報)との不可分的な結合を想起させるものであり、また同時的な形態把握が時間や運動の概念を暗示することから、絵画以外のより広義の表象システムへの批判も含みうるものだった。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『キュビスム(岩波世界の美術)』, , ニール・コックス(田中正之訳), 岩波書店, 2003

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