2019年11月15日号
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反復

Repetition

同一パターンの繰り返しは、デザインの分野では装飾への応用として長い歴史をもつが、芸術においては20世紀以降、印刷技術や工業技術の発達に伴い、ポップ・アートのシルクスクリーンによる複製作品や、ミニマル・アートの単一の構成要素が反復される構造をもつ立体などに認められる。特に反復については、構造主義以後のポストモダンにおける芸術作品の置かれた状況を分析するための有効なキー概念として認識されることとなった。アンディ・ウォーホルによるキャンベル・スープ缶の作品に代表される日常的なイメージの過剰な反復は、マーシャル・マクルーハンのメディア論との共犯関係にありながら、思想家のジャン・ボードリヤールが提示したシミュラークルのごとく、記号的操作によってイメージそのものを匿名的かつオリジナリティを喪失したコピーへと変質させている。また、ロザリンド・クラウスは1985年に出版された論文集『オリジナリティと反復』で、美術作品の条件をフォーマリズム的な価値判断から作品の構造の解明へと転換させる目的のもと、美術史において神話化された作者や作品のオリジナリティに、作品の複数性、反復の概念を導入することで、それらの二重化した関係を分析している。そこでは、絵画の平面性における「グリッド」の形象に、オリジナリティと反復との二重化を見出し、クレメント・グリーンバーグの還元主義的なモダニズムを、神話的なカテゴリーを崩壊させることで批判している。

著者: 森啓輔

参考文献

  • 『オリジナリティと反復 ロザリンド・クラウス美術評論集』, , ロザリンド・E・クラウス(小西信之訳), リブロポート, 1994
  • 『美術手帖』2月号, 「美術史を読む 第2回 ロザリンド・クラウス モダニズムを超えて」, 林道郎, 美術出版社, 1996

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