2019年08月01日号
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司法写真

Forensic Photography

犯罪者や行方不明者の身元確認を補完する写真。19世紀末、近代都市となったパリは異邦人たちで溢れかえり、犯罪も多発していた。犯罪者やモルグ(死体公示所)に集められた身元不明者の同定のためのアーカイヴを必要としていたパリ警察は、1876年から犯罪者のファイルに写真を添付し始め、79年にはアルフォンス・ベルティヨンが犯罪者の同定のために考案した「人体測定法」を採用する。これは頭部、手足、指、耳など人間の身体のパーツを厳密に計測し、その測定値を基準に個体識別を行なうものであり、正面からの写真に加えて、経年変化の少ない真横からの写真が使用された。一定の条件下で厳密に撮影された写真をもとに個体識別のためのデータベースが構築された。「ベルティヨン式」と呼ばれたこの方法は、83年にパリ警察で採用されたのを皮切りにイギリスやそのほかの国々にも広がり、再犯者の同定に一定の効果を発揮したものの、複雑な測定法と膨大すぎるアーカイヴなどを理由に、1920年代にはイギリスのフランシス・ゴルトンらが研究を進めた指紋の分類法にその役割を奪われる。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『身体の歴史3』, アラン・コルバン、ジョルジュ・ヴィガレロ監修、ジャン=ジャック・クルティーヌ編(岑村傑監訳), 藤原書店, 2010
  • 『司法的同一性の誕生 市民社会における個体識別と登録』, 渡辺公三, 言叢社, 2003
  • 『指紋論』, 橋本一径, 青土社, 2010

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