2019年09月01日号
次回9月17日更新予定

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対話型鑑賞

Dialogical Appreciation

子供の思考能力、対話能力の向上を目的に実践される対話による美術作品の鑑賞法を指す。ニューヨーク近代美術館で1984年から96年までギャラリー・トークなどの教育プログラムを担当し、「視覚を用いて考えるためのカリキュラム(The Visual Thinking Curriculum)」制作に参加したアメリア・アレナスが対話型鑑賞の第一人者とされる。日本では98年の著書『なぜ、これがアートなの?』(淡交社)の出版や、98年から99年にかけて豊田市美術館、川村記念美術館、水戸芸術館現代美術センターとの共同企画により同名の展覧会が開催されたことで、国内でも対話型鑑賞が注目を浴びることとなった。対話型鑑賞では、美術作品を専門家による研究対象としてのみ捉えることを否定し、作品の解釈や知識を鑑賞者に一方的に提供するような解説を行なうことをしない。鑑賞者が作品を観た時の感想を重視し、想像力を喚起しながら他者とのコミュニケーションがなされることで、組織化された対話や交流が可能となる。そこには、作品を作者の経歴や美術史的考察によって価値づける既存の作品観や鑑賞法ではなく、作品と鑑賞者のコミュニケーションを通じた関係によって意味が付加されるという「開かれた作品」としてのアレナス独自の作品観がうかがえる。なお国内での対話型鑑賞への注目には、2002年4月に改訂された学習指導要領における美術・図画工作の授業内容に鑑賞の充実と、美術館・博物館等の積極的な活用が明示されたことや、「総合的な学習の時間」が授業として新設されたことが背景として挙げられる。

著者: 森啓輔

参考文献

  • 『なぜ、これがアートなの?』, , アメリア・アレナス(福のり子訳), 淡交社, 1998
  • 『まなざしの共有 アメリア・アレナスの鑑賞教育に学ぶ』, , 上野行一監修, 淡交社, 2001

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