2019年09月01日号
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岩波写真文庫

Iwanami Shashin Bunko

1950年から58年にかけて286冊刊行された、写真をメインとするB6 判サイズのヴィジュアル本シリーズ。「物語る写真」をスローガンに、一冊につきワンテーマで編集がなされ、「自然科学」「社会・産業」「美術・歴史・伝記」「地誌・新風土記」「趣味・スポーツ・芸能・その他」と、幅広いジャンルを百科事典的に扱った。一冊ごとに150点から200点の写真を使用している。岩波書店専務であり、岩波映画製作所の代表でもあった小林勇が、占領下におけるアート紙の配給制限が解除されることを聞きつけ、その紙質を生かした写真中心の媒体を制作しようと構想したのが始まりで、小林の知人であった名取洋之助が企画・編集を任された。名取は49年に「日本の『LIFE』」を目指してグラフ雑誌『週刊サンニュース』を創刊したが、49年に廃刊。そのスタッフであった長野重一や薗部澄などが、岩波でも引き続き制作に参加した。そのほかにも、羽仁進や東松照明といったスタッフがおり、さらに国内各地の風土記を特集する場合には、熊谷元一などの現地のアマチュア写真家も撮影に参加した。初期の売上げは芳しくなかったが、『鎌倉』や『いかるがの里』のような、観光、紀行、美術ものを中心に人気が上昇。53年には菊池寛賞を受賞し、他社からも類似本が登場するなどしたが、TV放送の開始や週刊誌ブームのなかで、58年に休刊した。その後87年から90年にかけて、一部がワイド版として復刊されたほか、2007年から08年にかけては、赤瀬川原平、川本三朗、田中長徳、森まゆみ、山田洋次らの選による復刻版が刊行されている。

著者: 冨山由紀子

参考文献

  • 『にっぽん 1950年代 「岩波写真文庫」の世界』, JCIIフォトサロン, 2007

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