2020年06月01日号
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岸田國士戯曲賞

Kishida Prize for Drama

「演劇界に新たなる新風を吹き込む新人劇作家の奨励と育成」を目的にして、白水社が主催する戯曲賞。新人劇作家の登竜門としての性格から「演劇界の芥川賞」と称される。毎年、活字化された戯曲および選考委員等の推薦を受けた上演台本3〜8作品程度がノミネートされ、選考会を経て受賞作が発表される。岸田國士戯曲賞は、1954年に演劇雑誌『新劇』(90年『しんげき』、92年『レ・スペック』に改称、92年休刊)が創刊されたことを契機に、「新劇演技賞」と並んで「新劇戯曲賞」として創設され、翌55年に第1回受賞者が決定した(該当作なし、佳作=矢代静一)。『新劇』は岸田國士、岩田豊雄らが立ち上げに関わった『劇作』を前身としており、岸田の薫陶を受けた「劇作派」の田中千禾夫が責任編集者を務める戯曲文学に根ざした新劇誌だった。そうした関係もあり、61年には岩田の依頼を受けて前年に廃止された新潮社の「岸田演劇賞」の呼称を継承、「新劇岸田戯曲賞」と名を変えた。しかし、68年の別役実の受賞を皮切りに、新劇の戯曲中心主義に対する批判的運動を展開したアングラ・小劇場演劇の旗手たちが次々と受賞。特に70年、《少女仮面》(唐十郎)の受賞は新劇界の反発を招いたが、それは新劇から小劇場へと現代劇の中心軸が移行したことを告げる象徴的な事件だった。そうした流れのなか、79年に「岸田國士戯曲賞」と改称され現在に至る。時に受賞それ自体が論争の的となることからもわかるように、常に時代の先端を切り開く劇作家に贈られてきた岸田國士戯曲賞は、劇作家の系譜において日本の演劇を歴史化する役割を担ってきたといえる。

著者: 渋革まろん

参考文献

  • 『新劇』1986年5月号, 岸田國士戯曲賞30回記念特集, , 白水社, 1986

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