2019年06月15日号
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平面性

Flatness

絵画の二次元的性質を規定する物質的条件のこと。古くは1890年に、モーリス・ドニが絵画とは「本質的には平面を、ある秩序のもとに集めた色彩で覆うこと」であると宣言した。それは、視覚的光景の心理的な投影としての自然主義的絵画観とは異なる物質的生産物としての唯物論的絵画観の表明である。だが、平面性の概念は、おおむねクレメント・グリーンバーグの言説によって先導されたといえる。グリーンバーグは「モダニズムの絵画」(1960)で、絵画という媒体を構成する制限・限界として「平面的な表面、支持体の形体、顔料の特性」を挙げ、特に「絵画芸術がモダニズムの下で自らを批判し限定づけていく過程で、もっとも基本的なものとして残ったのは、支持体に不可避の平面性を強調することであった」と述べている。またグリーンバーグは、マネ、セザンヌからJ・ポロック、ポスト・ペインタリー・アブストラクションへの歴史的展開を平面性の追求という連続性から明解に整理しようとした。だが、そのために平面性とは絵画の本質であると同時に、モダニズムの歴史の展開・継承を実証する構造的な因子ともなってしまうのだった。ゆえにその概念は、超歴史的本質主義と歴史主義的立場との背反を身に帯びている。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『グリーンバーグ批評選集』, クレメント・グリーンバーグ(藤枝晃雄編訳), 勁草書房, 2005
  • 『批評空間臨時増刊号 モダニズムのハード・コア』, 太田出版, 1995

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