2019年11月15日号
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幾何学的抽象

Geometric Abstraction

抽象を用いた芸術の一形式であり、幾何学な線・面・量塊などによって構成される表現形式のことを指す。その場合の線・面・量塊は線遠近法的なイリュージョンに寄与することはなく、もっぱら抽象的な画面構成のために用いられる。20世紀前半においてこの種の幾何学的抽象を用いた作家や動向は少なくなく、運動としてはキュビスム、デ・ステイル、シュプレマティスム、個別の作家としてはW・カンディンスキー、K・マレーヴィチ、P・モンドリアンらの作品が想起される。1920年代に国際的な展開を見せた幾何学的抽象は、30年代のパリで「セルクル・エ・カレ(円と正方形)」や「アプストラクション・クレアシオン(抽象・創造)」といったグループを生むものの、第二次世界大戦前や戦中のソ連やドイツでは反動的な時代の逆風にさらされることになった。また同時期、幾何学的抽象はA・E・ガラティンのコレクションやMoMAでの展示を通じてアメリカにも紹介されている。とりわけ、後者の初代館長アルフレッド・バーJrが「キュビズムと抽象芸術」展(1936)において「幾何学的抽象」と「非幾何学的抽象」を明確に区分したことは有名である。この様式は、後にアメリカで教鞭をとったモホイ=ナジ、ナウム・ガボ、ヨーゼフ・アルバースらによって次世代へと受け継がれる様式のひとつとなった。

著者: 星野太

参考文献

  • 『構成主義と幾何学的抽象』, 東京国立近代美術館(編), 東京新聞, 1984
  • Cubism and abstract art: painting, sculpture, constructions, photography, architecture, industrial art, theatre, films, posters, typography, Alfred H. Barr, Jr., Museum of Modern Art, 1936

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