2019年08月01日号
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戦争写真

War Photography

戦場やその周辺を撮影した写真。イギリスのロジャー・フェントンは1855年から半年間クリミア戦争に従軍し、世界で初めて戦場を撮影した。当時の写真技術は感光材が濡れているあいだに処理をしなければならないコロディオン湿板法であったため、撮影から現像・定着までを現地で行なわねばならず、フェントンは「写真馬車(photographic van)」と呼ばれる暗室を備えた馬車に機材や薬品を積んで戦場へ赴いた。当時はシャッター・スピードが遅いなどの制約があり、戦闘場面の撮影は不可能であったが、将校たちの休息や弾丸が散乱した戦場などがレンズに収められている。その後、フェリーチェ・ベアトがアヘン戦争を、アレクサンダー・ガードナーやティモシー・H・オサリバンがアメリカ南北戦争を撮影しており、その様子は新聞や写真アルバムを通じて配信された。また日本陸軍の陸地測量部写真班に代表されるように、前線の地図作製のために写真が用いられることもあった。1920年代になると35ミリ小型カメラの機動性と速写性の向上により、戦場の臨場感を伝えることが可能となった。フォト・ジャーナリズムの隆盛期を迎えた30年代以降は、写真雑誌や新聞は前線に多くの写真家を送り、「世界で最も偉大な戦争写真家」と言われたロバート・キャパのようなスターも登場したが、危険な戦場での撮影によって命を落とす者も少なくなかった。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『ちょっとピンぼけ』, ロバート・キャパ(川添浩史、井上清一訳), 文藝春秋, 1979
  • 『他者の苦痛へのまなざし』, スーザン・ソンタグ(北条文緒訳), みすず書房, 2003

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