2019年08月01日号
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改良服

Kairyo-fuku

近代の日本において繰り返しさまざまなかたちで考案された、従来の和洋服いずれの形式にも属さない衣服を意味する言葉。明治以来、国民生活のあらゆる領域で近代国家にふさわしい合理性が求められるなか、和服の機能面および衛生面における「欠陥」がたびたび議論の俎上に載せられてきたが、一方で、洋服の採用に対する躊躇や抵抗もあり、それゆえ改良服は、問題を克服する第三の選択肢として重視された。定型のデザイン的特徴は見られないものの、和服や袴を下敷きとした上下二部式、筒袖の衣服である場合が多く、また、しばしば奈良時代以前の服飾をイメージソースに置き、それが国家の「伝統」に照らして正統な衣服であることが強調された。もっとも、「改良服は研究はされるが実行はされない」という昭和8(1933)年の田中千代の言葉に示されるとおり、近代を通じてさまざまな改良服のアイディアが発表されてきたにもかかわらず、それが一般に普及した例は見出されない。その理由として田中は、機能面や衛生面における利点を重視するあまり、改良服が「美を沢山に犠牲に」する衣服であったということを挙げている。

著者: 安城寿子

参考文献

  • 『新女性の洋装』, 田中千代, 南光社, 1933
  • 『時代が求めた「女性像」 大正・戦中・戦後にみる「女の一生」』第9巻, 岩見照代監修, ゆまに書房, 2011
  • 『近代日本の身装文化 「身体と装い」の文化変容』, 高橋晴子, 三元社, 2005
  • 『衣服改良運動と服装改善運動』, 夫馬佳代子編, 家政教育社, 2007

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