2019年06月01日号
次回6月17日更新予定

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新古典主義(ネオ・クラシシズム)

Neo-Classicism

18世紀半ばに古代ギリシャ・ローマ芸術・文化の復興を謳ってローマで発生、直ちにヨーロッパ全土ならびに新大陸アメリカにまで広がり、19世紀初頭まで続いた芸術・文化運動の一大潮流のこと。古典を制作の手本とすることは、ルネサンス以降の造形芸術にとって基本であるが、新古典主義の「新しさ」、つまりそれまでの古典の模倣と異なる点は、17世紀のイリュージョニスティックなバロックと18世紀の華やかなる宮廷美術のバロックに対する反発から生じたため、それらを否定するような古典の手本を意図的に選択したことにある。その基本的理念は、芸術家は「正しい理性と強い倫理観」によって社会を正さねばならないため、高潔な徳を具現化したギリシャ・ローマの古典芸術を模範とすべしという点にあった。このような強い道徳観・倫理観のため、新古典主義のこの態度を、18世紀末にその絶頂を迎えた啓蒙運動の反映とみなす声もある。18世紀半ばから行なわれたヘルクラネウムやポンペイなどの発掘作業や、それによってなされた考古学的発見や古代美術に関する書物が次々と刊行され、人々の古代に対する関心は増していく傾向にあった。そうした時勢のなかで、ドイツの考古学者で美術史家のヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンが1755年に『ギリシア美術模倣論』を出版、この中で「高貴なる単純さと静穏なる偉大さ」とギリシャ美術の本質を説き、新古典主義の典拠となった。これによってヴィンケルマンは新古典主義の主導的理論家とされ、この著作を発表後ローマに移住、すでに同地にいたドイツの画家アントン・ラファエル・メングスやスコットランドの画家ゲーヴィン・ハミルトンなどが彼の賛同者となった。彼らは、ヴィンケルマンの理論の下、新古典主義の礎となる絵画様式を形成したが、新古典主義をさらに発展させ、結実させたのはフランス絵画における新古典主義の先駆、ジャック=ルイ・ダヴィッドであろう。そしてその追随者であるジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルによって、この様式は完成を見ることとなった。

著者: 小野寛子

参考文献

  • 『岩波世界の美術 新古典主義』, デーヴィッド・アーウィン(鈴木杜幾子訳), 岩波書店, 2001

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