2019年06月15日号
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日記映画

Diary Film

個人映画・実験映画の展開のなかから派生した、プライヴェートな日常を日記のように綴った映画を指す。戦後アメリカの実験映画作家であるジョナス・メカスに代表されるように、日記映画は実験映画における主要な手法のひとつとなっており、多くの場合は作家自身の手持ちカメラによるラフな撮影によって構成される。作家の個人的内面と映像の結びつきが強調されており、作家の感情の移ろいを反映させた映像による詩や、映像による私小説と呼べるようなものが多い。モノローグを伴う場合もあれば、まったくそれを使用しない場合もある。メカスの『Walden』(1969)や、『リトアニアへの旅の追憶』(1972)などの作品が知られている。日本国内でこの手法を使う作家としては、かわなかのぶひろや鈴木志郎康がおり、後続の国内作家に強い影響を与えた。このような映画的手法の背景には、映画を商業的な映画製作システムがもたらす束縛から解放し、作家個人の生活活動のレヴェルにおいて取り戻そうとする意図が存在していたといえる(これについては個人映画も同質である)。これは作家自身にカメラを向けたセルフ・ドキュメンタリーのような映画的手法に近いが、セルフ・ドキュメンタリーは、ドキュメンタリーにおける撮影者と対象の関係性をメタ化することを意図したものであり、必ずしも日記映画と同じものであるとはいえない。

著者: 阪本裕文

参考資料

  • 『リトアニアへの旅の追憶』, ジョナス・メカス, ダゲレオ出版, ビデオ, 1996
  • 『Walden: Diaries, Notes and Sketches』, Jonas Mekas, Re-Voir/Microcinema, DVD, 2009

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