2019年10月15日号
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有孔体理論

Yukotai Theory

1967年に刊行された『建築に何が可能か 建築と人間と』において原広司は、被覆に孔を開けられた空間単位が、連結部と制御によって建築を構成する「有孔体理論」を展開している。原は「有孔体は、内部空間の要請にしたがって形態が決定される。つまり有孔体の被覆は内部空間の反映である」と記しており、音、熱、光、人間、もの等の作用因子を、孔によって制御することで、空間を定義しようと試みる。この有孔体の理論により、「自由な領域を非均質な空間として保存しようとする」原の変化に富んだ表情を持つ建築が産まれることになる。実際の設計において、《伊藤邸》(1967)、《下志津小学校》(1968)、《慶松幼稚園》(1968)など、有孔体理論に基づいた建築を実現させている。またこれは、建築とは本来、そのひとつずつにおいて特異な要請に答えるべきであり、均質的ではありえないという、近代的合理主義に基づいたモダニズム建築に対する批判でもある。

著者: 有山宙

参考文献

  • 『空間〈機能から様相へ〉』, 原広司, 岩波現代文庫, 2007
  • 『建築に何が可能か 建築と人間と』, 原広司, 学芸書林, 1967

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