2019年12月01日号
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現代口語演劇

Contemporary Colloquial Theater Theory

劇作家の平田オリザが1990年代半ばに提唱した、平田にとってあるべき日本の現代演劇を指す呼称。平田にとって演劇は、真善美の価値あるいは作家の主義主張を伝えるものではなく、作者に見えている世界をありのままに記述することである。平田はこうした考えから、スタニスラフスキーともブレヒトとも異なるさらに新しい位相の演技体系、まったく新しい戯曲へのアプローチの方法を画策した。平田が具体的に行なったのは、主語−述語が明確な外国語から翻訳された戯曲の口ぶりから離れて、日本語独特の口語的文章へと戯曲の叙述法を変更することであった。この試みは、語順が自由に置き換え可能で助詞と助動詞の言い回しに特徴のある日本語の独自性を反映したものといえる。とはいえ現代口語演劇を構成するのが日常会話である必要はない。重要なのは、観念から出てきた言葉ではなく、身体から出てきた言葉を生み出すことであった。現代口語演劇のアイディアは、平田の主宰する青年団の戯曲に反映されたのはもちろんのこと、彼の運営するこまばアゴラ劇場やその他の小劇場で作品を上演する多くの若手劇作家たちに大きな刺激を与えた。例えば、劇作家の岡田利規が自作を称するのに用いた「超口語演劇」は、口語に注目した平田への次世代からの応答であることを明示している。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『平田オリザの仕事1 現代口語演劇のために』, 平田オリザ, 晩聲社, 1995
  • 『平田オリザの仕事2 都市に祝祭はいらない』, 平田オリザ, 晩聲社, 1997

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