2019年08月01日号
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絵はがき

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世界各地の風景や風俗、出来事などが印刷されたはがきで、土産物や通信手段として流通した。1870年代から私製絵はがきの使用が認められたドイツ、スイス、オーストリアなどでは、風景が印刷された絵はがきが流通するようになり、その後イギリスやフランスでも絵はがきブームが到来する。1900年前後に質の高いコロタイプ印刷が普及したことにより、写真が印刷された絵はがきが大量に出回り、02年にイギリスで宛名面に通信文を書くことが認められたのを皮切りにヨーロッパ各国に広がり、日本も07年に続く。美しい絵や写真が印刷された定型の絵はがきは人々の蒐集熱を刺激し、アルバムに貼られたり、各地で交換会や展覧会も行なわれた。また、印刷された絵柄だけではなく、通信印や記念切手、記念スタンプなども蒐集における指標となった。こうした絵はがき蒐集の下地は1850年代から20世紀初頭にかけて欧米を中心に大流行したステレオ写真によってすでに作られていたと言えるだろう。絵はがきは記念品や通信手段としてだけでなく、遠隔地での出来事を伝える報道的役割や企業の広告的役割も担っていた。日本では1900年に私製はがきが認可されると、その後の日露戦役記念絵はがきや軍事郵便の発行を契機に一大ブームを巻き起こした。郵便局前には絵はがきを買い求める人々が長蛇の列を作り、騒ぎのなかで死者も出るほどであったと伝えられている。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『絵はがきの時代』, 細馬宏通, 青土社, 2006
  • 『絵はがきで見る日本近代』, 富田昭次, 青弓社, 2005
  • 『写真論集成』, 多木浩二, 岩波現代文庫, 2003

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