2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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航空写真

Aerial Photography

飛行機や気球などに搭載されたカメラで上空から地表面を撮影した写真。世界初の航空写真は1858年にフランスのナダールが気球に乗ってパリ郊外を撮影したもの。気球の上から乗り出してカメラを構えるナダールの姿が描かれたオノレ・ドーミエの風刺画《ナダール、写真を芸術の高みに持ち上げる》はよく知られている。ナダールは当初から気球から撮影した写真の軍事利用や土地計測への利用を意識しており、70年の普仏戦争時には軍の気球兵を指揮して偵察を行なった。垂直的アングルで撮影された航空写真は軍事偵察、地図製作、戦果確認など軍事上の用途に使用されることが多く、日本初の航空写真も78年の西南戦争の際に写真師の横山松三郎が気球から偵察を行なった際に撮影されたものである。1942年、エドワード・スタイケンはアメリカ軍の航空部門に写真班を設置することを提案し、自ら指揮官として撮影に従事しているし、作家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリもドイツ軍を偵察するために航空写真撮影の命を受けている。また、ボーイング社の写真偵察機F-13(B-29改造型)には大型カメラが取り付けられ、爆撃計画やその後の戦果確認のために日本上空に飛来した。航空写真は軍事利用だけでなく、土地利用や考古学調査、防災計画などにも利用されてきたが、現在では大気圏外に打ち上げられた人工衛星からの画像がその役割を担っている。

著者: 小原真史

参考文献

  • 『ナダール 私は写真家である』, ナダール(大野多加志、橋本克己訳), 筑摩書房, 1990
  • 『戦う操縦士』, アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(堀口大学訳), 新潮文庫, 1956
  • Steichen at War, Christopher Philips, Portland House, 1987
  • 『カメラと戦争 光学技術者たちの挑戦』, 小倉磐夫, 朝日新聞出版, 2000

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