2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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芸術意志

Kunstwollen(独)

美術史家アロイス・リーグルが『美術様式論 装飾史の基本問題』(1893)で採用した概念。人間に本来備わっているとされる超個人的な芸術や装飾への意欲・欲求のこと。リーグルは、それぞれ別の自律的系統として記述されていた古代エジプトからギリシャを経て末期ローマに至る様式と、ビザンツを経てアラビア文様に至るまでの様式とに発展史的なつながりがあることを主張した。リーグルの学説は古典古代を普遍的で特権的な対象とし、その他の時代・地域の美術工芸(特に装飾芸術)を「マイナー」なものとする従来の人文学や美術史学の価値観に疑問を投げかけるものであると同時に、G・ゼンパーが提唱した技術的・唯物論的な装飾史観(より正確にはゼンパーの理論に端を発するゼンパー主義の蔓延)を批判する目的のもとになされた。それは装飾を、使用、材料、技術の目的論から創造的な芸術的意志の目的論へと解放するものである。そのためリーグルは、芸術作品に先駆者とその模倣者が現われるように、装飾文様に内在する美的感性やモチーフの細部も、創造的に再生産されるものであるという。このようなリーグルの精神主義的な「意志」概念の反響は、後続する美術史家W・ヴォリンガーが提唱した「抽象衝動」と「感情移入衝動」にも見出すことができる。

著者: 沢山遼

参考文献

  • 『リーグル美術様式論 装飾史の基本問題』, アロイス・リーグル(長広敏雄訳), 岩崎美術社, 1990
  • 『抽象と感情移入』, ヴォリンゲル(草薙正夫訳), 岩波文庫, 1953

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