2019年11月15日号
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連続写真

Sequence Photography

運動の形態を正確に把握するために連続した複数の瞬間を撮影した写真。アメリカ在住のイギリス人、イードウィアード・マイブリッジは、1878年に「速歩する馬の4本の足がすべて同時に地面から離れる瞬間があるか」という論争の答えを出すために、競馬場に12台のカメラを等間隔に並べ、そこを走る馬がコースを横切った糸を切ることでシャッターが下りる仕掛けを考案。ギャロップする馬の4本の足が同時に地面から離れるのは、前足と後足が胴の下で出会う瞬間だということを証明する。当初は糸やゴムを利用したシャッターであったが、後に電気式シャッターに改良され、安定した高速シャッターが可能となる。マイブリッジは動物だけではなく人間の連続写真も大量に撮影し、87年には全11巻、2万枚以上の写真からなる写真集『動物の運動』を出版している。また、フランスの生理学者エティエンヌ=ジュール・マレーは、手持ちで連続撮影のできる「写真銃」を用いて被写体の動きの軌跡を同一視点から一枚の原板上に多重露光する「クロノフォトグラフィ」考案し、94年に『運動』を出版する。こうした連続写真の実験はトーマス・エジソンやリュミエール兄弟へと引き継がれ、95年のシネマトグラフ発明への道を拓いただけでなく、エドガー・ドガやマルセル・デュシャン、未来派の画家たちの着想源にもなった。

著者: 小原真史

参考文献

  • Picturing Time: The Work of Etienne-Jules Marey, Marta Braun, Univ of Chicago Press, 1995
  • 『表象と倒錯 エティエンヌ=ジュール・マレー』, 松浦寿輝, 筑摩書房, 2001
  • 『映画の考古学』, G・W・ツェーラム(月尾嘉男訳), フィルムアート社, 1977

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