2019年06月15日号
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遠近法

Perspective(英), Prospettiva(伊)

三次元の空間と立体を、絵画などの二次元平面上で視覚的に再現する際の表現方法。時代・地域などによりさまざまなヴァリエーションがある。西洋では特に古代と近世に遠近法への関心が高まった。前後の対象を重ねて描く原始的な方法のほか、遠景を青灰色にぼかす空気遠近法、画面に対し垂直に配されたモチーフを縮めて描く短縮法などが行なわれたが、特に西洋近世に特徴的な方法とされるのは線遠近法(透視図法)である。線遠近法は、画面に直交すると想定される平行線を一点(消失点)に集束させて描く方法で、イタリア・ルネサンスで開発され、17-18世紀には数学・幾何学の進展とともに単純化・完成された。一方で東洋では、遠いものを上に、近いものを下に描く上下法や、前後の対象を重ねる方法が一般的に採用された。中国では、すでに唐代には山水画で遠近表現の定式化が進められ、北宋の画家・郭煕は、高遠・平遠・深遠からなる三遠法を理論化するとともに、視点を一点に定めた空間構成や、前のものを濃く、後のものを淡く描く方法、奥行を計量的に表現する方法などを駆使し、高度な遠近表現を実現した。日本では江戸時代中期以後、西洋の線遠近法への関心が深まり、眼鏡絵や浮絵に応用されたほか、洋風画や、浮世絵の風景版画に影響を与えた。なお遠近法は特定の文化圏における主体と世界との関係性を象徴する視覚形式として論じられることもある。

著者: 太田智己

参考文献

  • 『〈象徴形式〉としての遠近法』, エルヴィン・パノフスキー(木田元監訳), ちくま学芸文庫, 2009
  • 『中国絵画のみかた』, 王耀庭(桑童益訳), 二玄社, 1995
  • 『スーパーフラット』, 村上隆編著, マドラ出版, 2000
  • 『美術史論叢』19・26, 「中国山水画の透視遠近法」, 小川裕充, 東京大学大学院人文社会系研究科・文学部美術史研究室, 2003・2010

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