2019年08月01日号
次回9月2日更新予定

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開かれた作品

Opera Aperta

イタリアの哲学者であり、小説家としても知られるウンベルト・エーコ(1932-)が、同名の著作『開かれた作品』(1962)のなかで用いた概念。

同書のなかでエーコは、音楽作品(シュトックハウゼン、ブーレーズ)、文学作品(マラルメ、ジョイス)、美術作品(カルダー、フォートリエ)などを例にとりながら、自身が提唱する「開かれた作品」という主題について論じている。とはいえ、エーコが主張しているのは「開かれた作品」と「閉じられた作品」が存在するということではない。「開かれ」はあらゆる芸術作品に内在する「常数」であり、その多様な解釈の可能性において、あらゆる作品は原理的に開かれている。同書のなかで20世紀後半の作品が中心に例示されているのは、あくまでもそれらが上記のような「開かれ」を意図的に強調しているからにすぎない。したがって、ある特定の作品を論じる際に「開かれた作品」という属性を無批判に適用することは、エーコの本来の意図からすれば誤りであるということになる。

なお、現在流通している『開かれた作品』は1967年刊行の原著第2版を底本としており、当初収録されていたジョイス論が削られているなど、初版とは少なからぬ異同が見受けられる。

著者: 星野太

参考文献

  • 『開かれた作品』, ウンベルト・エーコ(篠原資明、和田忠彦訳), 青土社, 1984

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