2020年11月15日号
次回12月1日更新予定

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音楽配信

Online Music Distribution

デジタルデータ形式の楽曲(=音楽ファイル)を、インターネットなどのデジタルネットワークを利用して配信する流通形態のこと。一般的にはインターネット商用配信サービスのことを指す。音声圧縮技術として開発されたMP3コーデックが1990年代後半から普及したことをきっかけに、パソコンや携帯電話などデバイス側の技術開発やネットワーク帯域幅の拡張とともに広がった。その黎明期から海賊版音楽ファイルの問題(Napster問題など)とは切り離せない関係にあり、音楽配信の歴史はデジタル音楽著作権法制度の形成過程そのものでもあった。2000年代は、iTunes Music Store(Apple、2003)のように音楽ファイルを売り切りする「ダウンロード型」が主流だった。また、日本レコード協会は2005年を「音楽配信元年」と位置づけているが、携帯電話向け「着うた」が先導したという点で日本市場は独特だった。一方、2010年代後半以降は、スマートフォンとアプリの利用を前提とするSpotifyやApple Musicのような月額制「ストリーミング型」の利用が急拡大している。国際レコード産業連盟はこうした世界的な転換を指して、「『所有』から『アクセス』へ」と表現している。
ただし、ここまでの説明はすべて、既存のレコード産業を主体とした商用配信のみを対象にしていることにはあらためて注意すべきだろう。「音楽を配信する」という行為の水準から考えると、検討すべき射程はより広くなるからだ。例えば、音声圧縮技術以前に先行してネットワーク上を流通していたMIDIデータ(「着メロ」事業を含む)、海賊行為やハッキングとも繋がる自生的な音楽ファイル開発、アマチュア音楽家によるSoundCloudなどの投稿型プラットフォームの利用、これらも広義の音楽配信として考えるべきである。

著者: 日高良祐

参考文献

  • 『ネットワーク・ミュージッキング 「参照の時代」の音楽文化』, , 井手口彰典, 勁草書房, 2009
  • 『CODE インターネットの合法・違法・プライバシー』, , ローレンス・レッシグ(山形浩生、柏木亮二訳), 翔泳社, 2001
  • 『だれが「音楽」を殺すのか?』, , 津田大介, 翔泳社, 2004
  • 『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』, , スティーヴン・ウィット(関美和訳), 早川書房, 2016
  • MP3: The Meaning of a Format, , Jonathan Sterne, Duke University Press, 2012
  • Selling Digital Music: Formatting Culture, , Jeremy Wade Morris, University of California Press, 2015

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