2019年06月15日号
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3DCGアニメーション

3D Computer Animation

コンピュータ描画による立体アニメーション。コンピュータ・グラフィックスは1970年代以降、SF作品を中心にいくつかの映画において特殊効果として用いられてきた。なかでも82年のディズニー・スタジオ製作の『トロン』はその技術を大きくフィーチャーした最初期の一例である。アニメーション作家のジョン・ラセターは『トロン』におけるCGアニメーションに、ディズニー・スタジオが30年代から40年代の黄金期に達成したことの未来を見た。つまり、ディズニーが初の長編『白雪姫』(1937)で達成しようとした作品世界の3D化(マルチプレーンカメラの使用など)と、それによる観客の作品世界への没入の可能性である。その後、ラセターはかねてから3DCGを用いたアニメーション作品の製作を試行していたピクサー・スタジオのもとで、『ルクソーJr.』(1986)などの短編を監督、非人間的な冷たさを与えかねないCG映像にディズニーのキャラクター・アニメーションの原則を用いることでそれを回避し、新たな道を切り開いた。3DCG映像を「人間的な」ものにするその試みは、95年公開の世界初の長編3DCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』の大成功によってひとつの到達点を迎え、その後、自然主義的な3DCGはアメリカのアニメーション産業におけるメイン・ストリームとなり、セルアニメーションに代わるスタンダードとして、ヨーロッパやアジアにも広がっていく。3DCGアニメーションによる作品製作は巨大な予算を必要とすることから商業スタジオにほぼ限られているが、非自然主義的なアプローチによってあえてイメージの虚構性を強調する試みは、その反動のように実験性の強い個人作家の作品に散見される。デイヴィッド・オライリーは、プレヴュー用のレンダリングの粗い画質を逆に美学的に利用することで、『プリーズ・セイ・サムシング』(2009)をはじめとした短編作品を完成させている。バリー・ドゥペはアプリケーションのバグの効果を作品内に全面的に取り入れている。パーソナル・コンピュータの高性能化もあり、個人や学生であっても3DCGは充分に活用できる状況ができあがりつつあるといえる。

著者: 土居伸彰

参考文献

  • 『メイキング・オブ・ピクサー 創造力をつくった人々』, デイヴィッド・A・プライス(櫻井祐子訳), 早川書房, 2009
  • 『コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション』, 大口孝之, フィルムアート社, 2009

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