2019年06月15日号
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51C

51C

1951年に計画された公営住宅標準設計のひとつの型の名称。第二次世界大戦後、住宅不足が深刻となり、早期に大量生産できる住宅が求められた。政府はそれまでの住宅品質を底上げするため、耐火性能があり、狭い土地でも多くの人が暮らせる鉄筋コンクリートの高層住宅の建設に乗り出した。その際、国家事業である公営住宅の建設は、どの地域においても水準が統一される必要があり、標準化された間取りが求められた。設計は建築設計監理協会(後の日本建築家協会)に委託され、多くの建築家によってさまざまなプランが提案された。その中で、東京大学の吉武泰水助教授が提案した案が51Cであり、委員の合意を得て原案通り採択され、51年の標準設計となった。実施設計は久米設計事務所が担当した。標準設計には、もともとA(16坪)、B(14坪)、C(12坪)の三つがあり、51C型はその中でいちばん小さい型であった。35平米という狭い空間の中で、「食寝分離」と「就寝分離」という、当時の住宅建築計画における二大テーマを同時に実現することが、51C型の最大の目的であった。そのために、必要なところはしっかり仕切り、生活をいかに重ね合わせるかが重要となった。この「分離」と「重合」の結果、食事ができる台所(ダイニングキッチン)が生み出され、その後の公営団地の設計や、農村部の住宅にも引き継がれた。

著者: 藤本絵理(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『「51C」家族を容れるハコの戦後と現在』, 鈴木成文ほか, 平凡社, 2004
  • 『五一C白書 私の建築計画学戦後史』, 鈴木成文, 住まいの図書館出版局, 2006

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