2019年09月15日号
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CD(コンパクト・ディスク)

Compact Disc

音声をデジタル化して記録し、そのデジタル信号を音として復元する音響記録複製テクノロジー。デジタル録音方式は1970年代には実用化されていたが、デジタル再生方式は、82年10月にCDとして初めて商品化された。CDの登場以降、デジタル情報を記録する媒体は、ほかにもたくさん登場した。それは音声が必ずしもCDに記録される必要がなくなったということを意味する。HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリに記録されても、デジタル・データとしての音声は変化しない。つまり、レコード以来強固に存在してきた、音声と記録フォーマットとの物理的な結びつきが脆弱化し、音楽は再び「モノ」ではなくなったのだ。CDは音楽が脱パッケージ化する起点に位置する。そして今や、インターネットの普及などもあり音楽メディアとしてのCDが急速に滅びつつあるなか、将来的には、音楽はいつでもアクセスできる水のような公共財になるとも言われている(『デジタル音楽の行方』)。また、80年代を通じて増殖したCD規格は、音声以外のさまざまな情報(テキストや画像や動画など)を扱うようになった。これは、視覚芸術と音響芸術との関係を考える上で本質的に重要である。というのも、これ以降、視覚芸術であれ音響芸術であれ、同一インターフェースを通じて制作できるようになるからだ。つまり例えば刀根康尚のように、「テキストの画像情報」というデジタル・データを、音声情報として解釈して音声化することで制作される作品を制作する作家も登場するわけだ(刀根のポップ・ヴァージョンがOvalだといえよう)。視覚芸術と音響芸術の区別が溶解する起点のひとつに、CDは位置しているのだといえよう。

著者: 中川克志

参考文献

  • 『音響技術史 音の記録の歴史』, 森芳久、君塚雅憲、亀川徹, 東京藝術大学出版会, 2011
  • 『デジタル音楽の行方 音楽産業の死と再生、音楽はネットを越える』, デヴィッド・クセック、ゲルト・レオナルト(yomoyomo訳), 翔泳社, 2005

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