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CTG(コンピュータ・テクニック・グループ)
CTG(Computer Technique Group)
CTG(コンピュータ・テクニック・グループ)は槌屋治紀と幸村真佐男の出会いをきっかけに、1966年12月に山中邦夫と柿崎純一郎を加えた4人(最終的に10名)で結成されたコンピュータ・アート集団。その設立趣旨は「芸術家・科学者・その他の多くのジャンルの創造的な人々との共同作戦によって、人間と機械との関係を冷静に見つめ、人間の生き方を考えてゆく」(CTG マニフェスト,1967年4月)ことにあった。その作品群はCG(コンピュータ・グラフィックス)やムーヴィーに留まらず、「インタラクティヴ」や「インスタレーション」など、その後のメディア・アートのキーワードとなる形式や方法の萌芽が多数含まれていた。CTGの代名詞であるジョン・F・ケネディやマリリン・モンローのポートレイトおよびモーフィングの先駆となったCGは、68年、アメリカの月刊誌『Computers and Automation』の第6回コンピュータ・アート・コンテストおよび展覧会「サイバネティック・セレンディピティ」(ICA、ロンドン)を通じて海外でも知られることとなった。同年9月に「コンピュータ・アート展:電子によるメディア変換」(東京画廊)を開催し、「光や音ならびに人間の行動は、コンピュータによる電子化を通じて、CGや絵画に変換(さらには相互交換)が可能である」というコンセプトを具現化したインタラクティヴ描画装置《APM(Automatic Painting Machine)No.1》を発表した。CTGはその作品群と活動を通じて、コンピュータが単なる電子計算機にとどまらずアートを表現するメディアにもなりうることや、やがて「メディアを統合するメディア」になる潜在能力を持つことを示唆した。グループは3年弱の短期間に爆発的に作品を発表した後、69年10月に「解体」した。
著者: 大泉和文
参考文献
- Computers and Automation, The Sixth Computer Art Contest, Berkeley Enterprises, August, 1968
- Cybernetic Serendipity - The Computer and The Arts, Jasia Reichardt, ed., Studio International, 1968
- The Computer in Art, Jasia Reichardt, ed., Studio Vista, 1971
- 『デザイン』1968年2-4月号, 連載=コンピュータによるグラフィック・デザイン1-3, CTG, 美術出版社
- 『COMPUTOPIA』1969年7月臨時増刊号, 「コンピュータ・メディア・観念」, 幸村真佐男, コンピュータ・エージ社
参考資料
- 『Cybernetic Serendipity Music』, V.A., ICA, LP, 1968
参考作品
- 『Computer Movie No.1』, CTG, 1969
- 『Computer Movie No.2』, CTG, 1969
- 『computer + something』, CTG, 1969
関連ワード
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