2019年09月15日号
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INA-GRM(Institut National Audiovisuel - Groupe de Recherches Musicals)

INA-GRM(Institut National Audiovisuel - Groupe de Recherches Musicals)

IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)と双璧をなすフランスの音楽研究機関。INA-GRMに限らず、電子音楽とテープ音楽の発展にとって、録音スタジオとテープ・レコーダを自由に使える環境を提供する放送局の存在は大きい。フランス国立ラジオ「ラジオ・フランス」の技術者だったP・シェフェールは1948年にミュジック・コンクレートを始め、51年にP・アンリとGRMC(ミュジック・コンクレート研究グループ)を結成した。58年にL・フェラーリとF-B・マッシュが加わり、GRMCはGRM(フランス音楽研究グループ)に改称。1974年にRTF(フランス国営放送)の傘下に入り、75年にINA(フランス国立視聴覚研究所)に統合され、現在のINA-GRMの体制となる。主に研究、専門家養成、アーカイヴ部門によって構成されており、近年はフランスの現代音楽と電子音楽をインターネットでも配信している。また、ミュジック・コンクレートと並ぶINA-GRM発の重要な技術としてアクースモニウムが挙げられる。アクースモニウムはF・ベイルによって74年に発案され、空間内に自由に配置された複数のスピーカーから生じる音響をミキサー上で操作し、より多次元で立体的な音響効果を得る装置である。また、ベイルを中心に開発されたGRM Tools、音響をグラフ化するAcousmographeなどのソフトウェアはヴァージョンアップが重ねられ、現在も創作の場で広く用いられている。「理論を欠いている」としてミュジック・コンクレートを批判し、GRMをライバル視していたP・ブーレーズは77年にIRCAMを創設するが、皮肉にもIRCAMの組織構成はINA-GRMをモデルにした結果となった。最近はINA-GRMがIRCAMの資料室に所蔵音源を提供するなど、互いに協力的な関係を築いている。

著者: 高橋智子

参考文献

  • Rationalizing Culture: IRCAM, Boulez, and the Institutionalization of Musical Avant-Garde, Georgina Born, University of California Press, 1995
  • The New Grove Dictionary of Music and Musicians 2nd Edition, vol. 15, “Radio: Ⅵ. Radio as Patron”, Stanley Sadie and John Tyrrell eds., Groves Dictionaries Inc., 2001

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