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2010年03月15日号のバックナンバー
フォーカス
第4回 21世紀ミュージアム・サミット「100人で語る美術館の未来」レビュー
[2010年03月15日号(菅野幸子)]
2月27日(土)から28日(日)の2日間にわたり、湘南国際村センターを会場に第4回21世紀ミュージアム・サミットが開催された。今回の開催にあたっての主催者側の意図は「人々が本当に求めている美術館体験は何か」という問いから企画されたものだが、同時に「美術館は社会のために、人々のために何ができるのか」という問いが秘められている。この問いは、日本の美術館セクターに課せられた問いだけではなく、世界的各地で美術館の再編や拡張が行なわれている現在、世界の美術館にとっても大きな課題でもある。
2010年代の予兆──「絵画の庭──ゼロ世代日本の地平から」展レビュー
[2010年03月15日号(林 洋子)]
これほど大規模な、日本人による「絵画」だけに絞った、美術館でのグループ展を近年、見た記憶がない。28作家による、具象傾向を中心とした絵画約200点、しかもほぼすべてが2000年紀以降の近・新作である。しいて言えば、東京国際フォーラムのような見本市会場でのアートフェアに近い印象で、見れども見れども仮設壁で仕切られたブースが続く。けれども、ひとりに割り当てられたスペースは豊かで(個展の集合体のようだが)、作品に値段もついていない。国立国際美術館の地下三階の企画展スペースに加え、地下二階のコレクション用スペースまで使った全館一斉展示である。中之島へ「新築移転5周年」を機に、これだけの数の絵画が一堂に、のびやかに会したのである。
キュレーターズノート
アートシーン in 台北/ウィリアム・ケントリッジ展 in 広島
[2010年03月15日号(角奈緒子)]
ずっと行ってみたいと思っていた地、台北への出張が急遽決まった。なんとも便利なことに、台北へは広島空港からダイレクトで約2時間半のフライトで到着する。そこはすでに初夏のような汗ばむ陽気。今回は初台北ということもあり、ギャラリー巡りは、インディペンデント・キュレーターとして日本でも活躍するHuang Yajiさんに付き合ってもらった。
小清水漸退任記念展/小清水漸 個展「雪のひま」/菅木志雄──在るということ
[2010年03月15日号(中井康之)]
日本において「美術」とは、これまでも繰り返し言説されてきたように、明治期にフェノロサが行なった『美術真説』という講演からもたらされたものである。そしてこの「美術」という概念から、洋画と日本画あるいは工芸といった範疇が誕生したのである。そしていまなお、その呪縛から解き放たれたとは言い難い状況にあると言わねばならないだろう。
アート・アーカイブ探求
曾我蕭白《群仙図屏風》狂気なる自我──「狩野博幸」
〈歴史〉の未来
第5回:図書館から図書環へ──分類の「第三段階」におけるアーカイヴの役割とはなにか?
[2010年03月15日号(濱野智史)]
連載5回目となる今回は、前回予告したとおり、昨年12月に行なわれた国立国会図書館館長・長尾真氏とのトークイベント「d-laboセミナー:これからの知──情報環境は人と知の関わりを変えるか」の内容をもとに、図書館というアーカイヴの未来について考えてみようと思う。そこで筆者が提示したのは、これからの図書館には知を蓄積する《貯蔵庫》としての役割だけではなく、知のあり方が変わりゆく状況そのものを支える《環境》としての役割が求められる──すなわち「図書館」から「図書環」へ──ということだった。