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2020年03月15日号のバックナンバー

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フォーカス

【イルクーツク】初心の起爆力を守り抜く──マクシム・ウシャコフ追悼に寄せて

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[2020年03月15日号(多田麻美)]

昨年末、あるアニメーション作家が亡くなった。その名はマクシム・ウシャコフ。溢れるような創作の意欲で、アニメーション、ドローイング、俳優業などのさまざまな分野において活躍した。晩年は資金不足に悩むなか、新たな可能性に賭けようとしたものの、夢を実現する間もなくこの世を去った。故郷、イルクーツクの人々に惜しまれながらの死だった。
そこで今回は新生ロシアのアニメの揺籃期にデビューし、その短い春を足早に駆け、47歳の若さで亡くなった彼の一生を、わかる範囲で追ってみたい。

キュレーターズノート

未来への夢とテクノロジーの進展のあいだで──
「インポッシブル・アーキテクチャー」/「未来と芸術展」

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[2020年03月15日号(能勢陽子)]

ほぼ同時期に、国立国際美術館で開催されていた「インポッシブル・アーキテクチャー ──建築家たちの夢」(2019年2月から埼玉県立近代美術館を皮切りに4館を巡回/以下、「インポッシブル・アーキテクチャー」)と森美術館で開催されていた「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命──人は明日どう生きるのか」(2020年3月29日まで/以下、「未来と芸術展」)を観た。「インポッシブル・アーキテクチャー」は、20世紀以降の建築史に残る、実現を前提としない、またはさまざまな背景により実現しなかったプランを紹介するもので、自在な想像力やユートピア的な側面を多分に含んでいる。対して「未来と芸術展」は、AIやバイオ技術などの最先端の科学技術を駆使して環境問題に対応し、移動や住環境を向上させる未来の都市や、それにともない変化するこれからの人間の姿を占う。

「ローカル」とは何か:青森県立美術館の二つの展覧会をめぐって

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[2020年03月15日号(工藤健志)]

青森県立美術館の2019年度下半期は「青森」の風土に根ざした地域密着型、問題提起型の展示が続いた。「青森EARTH2019:いのち耕す場所 ──農業がひらくアートの未来」(2019年10月5日〜12月1日)と、「ローカルカラーは何の色? ―写真家・向井弘とその時代―」(2019年12月21日〜2020年3月15日)がそれである。いずれも青森のローカル性に根拠をおく企画でありながら、キュレーションとしては対照的で、それぞれに「展覧会」の豊かな可能性が認められた。

地方コンテンツとしての博物館
──湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)

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[2020年03月15日号(角奈緒子)]

広島県北部、中国地方でいうとほぼ中心部に、三次という市があることをご存知だろうか。三次と書いて「みよし」と読む。島根県に隣接し、かつては山陽と山陰とを結ぶ要衝の地として栄えたという。浅野家が藩主を務めた江戸時代には、広島藩の支藩である三次藩として立藩した時期もあった。なるほど旧街道には、卯建のある古い商家が建ち並び、城下町や宿場町として賑わった時代の面影が感じられる、風情のある街並みが残る。

トピックス

【PR】コレクション展への挑戦──
「森村泰昌のあそぶ美術史 ─ほんきであそぶとせかいはかわる─」展

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[2020年03月15日号(森村泰昌/坂口千秋)]

富山県美術館(TAD)は富山県立近代美術館から名称をあらたにし、2017年に全面開館。それ以降として、初めての大規模なコレクションを活用した企画展を現在、開催中である。アーティスト森村泰昌氏をゲストキュレーターに迎え、独自のテーマをもとにコレクションから作品を選び、見せ方にもアイディアを凝らしている。「一般来場者にもっとコレクションに親しみを感じてもらいたい」という美術館の担当学芸員のリクエストに応えた展示は、あそびごころ満載の美術の新しい見方を教えてくれる。展覧会オープン当日、森村氏にお話をうかがった。(artscape編集部)

デジタルアーカイブスタディ

ミュージアム・ロストが起動させた“第四世代の美術館”

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[2020年03月15日号(大橋正司)]

美術館・図書館・公文書館・博物館(GLAM)のデジタルアーカイブ、ウェブサイトの利用者ニーズについて観察調査を行ない、論文「デジタルアーカイブをデザインする:『まだそこにいない』利用者に共感し本当に使われるサービスを作るために」(デジタルアーカイブ学会)の発表など、インフォメーションアーキテクトとして活躍しているサイフォン合同会社の代表・大橋正司氏に、情報世界から見た美術館のデジタルアーカイブについてご執筆いただいた。(artscape編集部)

アート・アーカイブ探求

ラファエロ・サンティ《キリストの変容》──光と闇のドラマ「越川倫明」

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[2020年03月15日号(影山幸一)]

artscapeレビュー

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