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2023年04月15日号のバックナンバー
フォーカス
鑑賞と座り込み──いること、見ること、見えてくるもの
[2023年04月15日号(山川陸)]
直近で足を運んだ展覧会での経験を回想するとき、私たちの身体は、その空間にどのように関わっていたか思い出せるだろうか。展覧会の空間は、言わずもがな作品を鑑賞する行為を前提として設計された場所でありつつも、その環境を細かく観察し腑分けしていくとき、物理的な身体や時間を伴った鑑賞者の位置づけが明確に定義されていない展覧会に時折出くわしたりする。しかし一方で、「鑑賞」に留まらない、少し異なる質の経験をその場に立ち上げる企図をはらんだものに出会うことも増えてきた。
建築の領域を出発点に、展覧会の会場構成や舞台作品のセノグラフィにも携わるかたわら、ツアーパフォーマンス形式の作品の発表などもたびたび行なってきたアーティストの山川陸氏に、展覧会や上演における、鑑賞と空間の関係性に対する考察をご寄稿いただいた。(artscape編集部)
【ソウル】人々をつなぐプラットフォームをつくる──キュレーター、シン・ボスル
[2023年04月15日号(シン・ボスル/セオ・ヒョジョン)]
ソウルを拠点にしているキュレーター、シン・ボスルは1997年から展示企画を始め、Media city Seoul 2004(第3回ソウル国際メディアアートビエンナーレ)Actually, the dead are not dead」(2021)、「Acts of Voicing」(2013)、「Design without Design」(2016)など国内外のコラボレーションによる展示だけでなく、「Road Show」(2011-)、「Batik Story」(2015-)などのさまざまな中長期プロジェクトを企画、運営している。トータル美術館に所属しているが、自分の関心事に対する研究をもとにインディペンデントで展示を企画し、予算を確保し、展示を実現させるプロデューサーでもある。展覧会場の外で、より活発に活動している彼女に会って話を伺った。
展示チーム長、議政府デジタルアートフェスティバルのキュレーターを務め、art center nabi 、ALT SPACE LOOP 、トータル美術館 などに勤務し、メディアアート分野だけでなく現代美術全般を網羅する企画者として活動してきている。また、アントニ・ムンタダスの個展「Muntadas: Asian Protocols」(2014)をはじめ、「キュレーターズノート
Another taste of our “food” ──社会批評のツールとして「食」と向き合う
[2023年04月15日号(レオナルド・バルトロメウス)]
YCAMでは、2023年3月11日より、インドネシアのジョグジャカルタを拠点とするアーティスト・コレクティブ、バクダパン・フード・スタディ・グループ(以下「バクダパン」)による企画展「The Flavour of Power─紛争、政治、倫理、歴史を通して食をどう捉えるか?」(以下、FoP)がスタートしました。
この展覧会は、2021年に始まったYCAMの研究開発プロジェクト「食と倫理リサーチ・プロジェクト」の一環として、「食」にまつわる倫理的な問題を調査するものです。わたしたちを取り巻く「食」が、経済や政治、科学などさまざまな要素とどのように絡み合っているか、そこにどう倫理的価値が介在しうるかを考え、理解することを目的としています。
「民族共生」が問いかける未来
[2023年04月15日号(立石信一)]
最初に「キュレーターズノート」への原稿執筆の依頼をいただいたのは、今からちょうど4年ほど前のことだった。当時はまだ国立アイヌ民族博物館を含むウポポイが開業する1年前だったということもあり、自分自身がウポポイの開業後はどのようなことが起きるのか、あるいはどのような環境になるのか、想像できていない部分が多くあるなかで引き受けたことを覚えている。
トピックス
【PR】日本近代美術との新たな出会い──東京国立近代美術館「重要文化財の秘密」展と「MOMATコレクション ナビキューブ」
[2023年04月15日号(大谷省吾/内田伸一)]
東京国立近代美術館の70周年記念展「重要文化財の秘密」には、明治以降の絵画・彫刻・工芸における重要文化財68件のうち、51点が集結した。それは同館70年の歴史と並行してきた戦後の重要文化財指定の歩みを通じて、日本近代美術をとらえ直す試みであり、美術館・博物館の収集・展示・研究活動の重要性を再認識できる場でもある。企画担当者である大谷省吾副館長に、同展の目指したもの、および関連して近代美術コレクションに新たな光を当てる同館の試みについて伺った。[聞き手:内田伸一]