final update 01 - ACAC_assistant 建築workshop

| | コメント(0)
こんばんは
僕がこのブログに投稿しはじめたのはACACで働き始めた9月なので、もう半年以上が経ちました。
青森に移動した直後にこのブログをはじめて、本当に怒濤の勢いで日々が過ぎていったという感じです。

ちょっと整理すると、本業のACACの仕事では『空間知覚』という1〜3月に実施した参加型プログラムを勤務スタート1ヶ月で組み立て、その後引っ越しやリサーチのために東北から国内各地を飛び廻り、山口との往復をしつつ約1ヶ月を過ごし、移動生活中に青森の拠点としていたホテル山上の一角でMACを立ち上げ、滞在制作1本と展覧会1本を無事終了させました。ほんとに異常な勢いで日々が流れていってしまった気がします。

これが僕にとって最後の投稿となるので、半年間のまとめと今後の展望でも書いてみようかと思います。ちょっと長くなりそうなので3postくらいに分けて投稿します。


まずはこの2ヶ月でACACで実践してきたことを、ちょっとご紹介したいと思います。
ACACでは2月に松原慈と有山宙による建築家ユニットassistantによるワークショップを、3月には音楽と美術の両フィールドで活躍中の梅田哲也さんによるワークショップ&展覧会を実施しました。
assistantは建築をベースにデザイン、インテリア、ウェブプロジェクトにアート活動と領域を横断しつつもコンセプトはしっかりと持って幅広い活動 を展開しています。かれらの軽快な領域横断やコンセプトのあり方は、そのユニークなウェブサイトのつくり方からも垣間見えます。
サイトはこちら >> http://www.withassistant.net/

acac_assistant.png↑これがワークショップスタート前の状態。
彼らのサイトは基本的に英語で構築されていて、日本語はgoogleの自動翻訳によっています。サイトの立ち上げ以来googleの翻訳システムが向上しており、少しずつ正確な表現(?)に近づいているようですが、それでもう笑える箇所が多数あります。

例えば、彼らの活動コンセプトは英語だと以下のとても明解なものです。
assistant is the international and interdisciplinary design practice.
これをgoogleの自動翻訳で日本語にすると、
「アシスタントは、国際的学際的なデザインの練習です。」
というかんじで、ある意味間違っちゃいないけど、ちょっと笑ってしまう表現を生成する自動翻訳を採用する手法などにユーモアのセンスが溢れ、とても魅力的です。

自身で活動の細部を定義していくのではなく、自動翻訳に任せてみたり、あるいはこれまでのプロジェクトやそれに関わった人の声など外部的な要因を積み上げて定義していくというのも、ある種構築的で建築的で興味深いスタンスです。


そんなかれらの今回のACACでのワークショップは「時間と空間の対照的配置 Symmetric Arrangement of Time and Space」というタイトル。テーマは建築です。

具体的には彼らが事前に制作した110㎝×90㎝×160㎝の11個のそれぞれ異なった仕様が施されたボックスを、11人の参加者がひとり1ボックスずつ 担当し、各ボックスにある行為を加えることによってそのボックスを完成させ、その他のボックスで発生していた行為などを描いてもらったりしつつ、一連の行 為をドキュメントしていくというものです。参加者はワークショップ参加者であると同時に、assistantの作品を構成する一部分でもあるし、共同制作 者でもあるんです。

もう少し詳述すると、各ボックスにはそれを建築として完成させるべく司令書と材料が入ったダンボール箱が準備されており、その指令に沿って各自が作業を進 めます。たとえばストレッチの布で覆われたボックスの人はひたすらカラフルな洗濯バサミを布に取り付け、さらにその洗濯バサミのリングにロープをどんどん 通してボックス内の空間を色彩豊かで多様な変化と立体感のあるものに仕上げたり、中に5つの異なった鏡が設置され背後に雪だるまが置かれたボックスでは5 つのミラーを立体的に設置することにより反射させて背後の雪だるまをボックス内に捉えることで空間を完成させたりと、各々が各自のミッションをこなしてそ れぞれの建築空間を完成させます。

assistant09.jpgassistant11.jpgassistant12.jpg
assistantの面白いところは、建築を建物が竣工した状態をもっとも美しい完成した状態と捉えるのではなく、むしろその制作プロセスのすべてを建築と考え竣工時はむしろスタートに近い状態として捉え、そこに人の行為が加えられ変化していく過程も含んだ全体を建築行為と捉えているところだったり、建築空間をかれらが設えることに より、そこで引き起こされる行為や変化も含めた総体を建築として提示しようとしているところだと思います。強引ですが、僕はMACを建築プロジェクトとし て実践しているところがあって、そのあたりはassistantの思考とも通じるところがあるのではとも勝手に思っています。(違ってたらすいません)
これは当たり前のことですが、僕らのようにある建物を利用する多くの人はそれが建ち上がってから、その建築との関係を本格的にスタートさせるんですよね。 アートセンターなどにおいても、美しく竣工した建物をどのように育てていくのか、あるいはいかにその建物とよい関係を築き対話していくかは本当に重要だ し、そういう行為も含めて建築と呼んだら面白いと思います。
いずれにしても今回のワークショップは人と建築の関係を考える上でも意義深いものでした。

ちなみにみんなでつくったこの建築はACAC創作棟に現在も展示されてます。
assistant作成のワークショップのドキュメントは下記よりダウンロードできます。
assittant_documents.pdf

assistant01.jpgassistant03.jpgassistant04.jpgassistant07.jpgassistant05.jpgassistant08.jpgassistant15.jpgassistant17.jpgassistant19.jpgassistant20.jpgassistant10.jpgassistant13.jpgassistant14.jpg建築を考えるシリーズは今後も色んな場所で継続的に実施していきたいと思います。

そういえばつい先日までお台場の日本化学未来館で開催していた「美味しく食べるの科学展」の空間デザインをassistantが担当していたのですが、こちらもすばらしかったです。単なる展示空間のデザインではなく、建築としてもかなり評価できる仕事だと僕は思っています。材料の扱いから、光や動線の運びまで、すごく細部まで丁寧につくり込んでいて、ゆるやかな部分と締める部分の連続性も見事でした。
もしどこかで言及する機会をいただけたら、この建築プロジェクトを中心にちょっと考えていることを書いてみたいなと思いっていますので、どなたかよろしくお願いします。

まずはassistantのお二人、ワークショップに参加してくれた方々にお礼を申し上げたいとおもいます。ありがとうございました。

final update 02へ続く...

ブロガー

月別アーカイブ