「伊万里焼、2度海を渡る」
1700年代初頭まで硬質磁器の製作技術を持たなかったヨーロッパでは、中国や日本の磁器を珍重しました。アジア貿易に積極的であったオランダ東インド会社やその社員たちが1660年代頃から本格的にヨーロッパ向けに扱いはじめたのが、日本製の磁器である伊万里焼(いまりやき)でした。ヨーロッパでは実用とするほか、王侯貴族たちの城館を飾る室内調度品としても用いました。現在も伊万里焼が残る場所はヨーロッパに数多くありますが、再び海を渡って日本へ「里帰り」していくものもありました。
今回の展覧会では、かつてドイツのアウグスト強王のコレクションであった「色絵 花鳥文 輪花皿」をはじめ、ヨーロッパから里帰りを果たした作品、器形や装飾などから輸出向けの可能性がある作品を展示し、伊万里焼貿易の様相を探ります。優美な柿右衛門(かきえもん)様式や華やかな古伊万金襴手(こいまりきんらんで)様式の色絵磁器、東洋風の情緒溢れる染付磁器など、ヨーロッパ好みの約80点をご堪能ください。