東アフリカのタンザニアを中心に発展したマコンデ彫刻は、硬くて黒いアフリカ黒檀を用いた精緻で力強い造形によって、世界的に高く評価されています。本展では、その中でも独特の主題である「骸骨」をモチーフとした作品に焦点を当てます。
 マコンデの骸骨彫刻は、儀式や祭礼に用いられるものではなく、彫刻家たちの豊かな想像力と卓越した技術から生まれた造形表現です。代表的な彫刻家アルエシ・サマーキは、骸骨を単なる死の象徴としてではなく、まるで生きている人物のように、語り合い、考え、時に笑い、日常を生きる存在として彫り上げました。
 そこにはユーモアや人間味が漂い、見る者に不思議な親しみと深い印象を与えます。骨だけの姿でありながら、そこに感じられるのはむしろ生の気配です。マコンデ彫刻特有の自由で躍動的な造形は、骸骨という主題を通して人間の姿や社会の一場面をも映し出します。
 本展では、こうした骸骨彫刻の多彩な表現を通して、マコンデ彫刻の独創的な造形力と、人間という存在を見つめる彫刻家たちの視点を紹介します。骸骨というモチーフが、死を超えてなお「生」を語り出す瞬間をご覧ください。