国立国際美術館では、2026年7月19日(日)から11月3日(火・祝)まで、特別展「笹本晃 ラボラトリー」を開催いたします。本展は、2025年に東京都現代美術館にて開催された展覧会を元に、当館コレクション作品を加えるなど内容を一部再構成するものです。

笹本晃は、彫刻的な思考と身体表現とを行き来しながら制作を続けてきました。糸や管、日用品、音、言葉といった多様な要素を組み合わせて空間を組み立て、思考や感情が行き交う回路のようなインスタレーションを構築します。さらに、自らその空間に入り込み、語りや動作を交えたパフォーマンスを行うことで、作品は固定されたものではなく、時間とともに変化し続ける「出来事」として展開されます。あらかじめ完成された形を提示するのではなく、出来事が生まれる過程そのものを含めて提示する点に、笹本の大きな特徴があります。

その関心は、個人的な記憶や日常の癖といった身近な領域から、近年では自然現象や生態系の観察へと広がっています。軽やかな語り口と複雑に構成された装置が重なり合うことで、作品はユーモアと緊張感を併せ持ちながら展開されます。空間に配置されたオブジェクトは単なる舞台装置ではなく、出来事を引き起こすための仕掛けとして機能し、即興的な展開を導きます。

本展のタイトルである「ラボラトリー(実験室)」が示すように、笹本の実践は完成された結果を提示するのではなく、試行錯誤のプロセスそのものを観客と共有する点に特徴があります。鑑賞者は、作品を単に「見る」のではなく、空間の中を歩き、音や気配を感じながら、思考の流れに巻き込まれていきます。東京都現代美術館で開催された展示内容を基盤としつつ、会場構成および当館が所蔵する作品も加えて出品作品の一部を変更し、国立国際美術館の空間特性に応じた新たな展示を試みます。

また、会期中に実施されるパフォーマンスについても、新たな作品内容で展開されます。展示空間を舞台に繰り広げられるパフォーマンスでは、言葉、身体、オブジェクトが複雑に絡み合い、その場限りの出来事が生成されます。これにより、来場者は訪れるたびに異なる体験に出会うことになります。

本展は、固定された作品展示にとどまらず、状況や関係性の変化そのものを含めた「生きた展示」として、観る者の思考と感覚を揺さぶります。現代美術に馴染みのない方にとっても、身近な素材や語りを手がかりに、多様な解釈の入り口が開かれる機会となるでしょう。