江戸時代屈指の娯楽であった歌舞伎見物。芝居小屋の屋根には櫓が掲げられ、看板がずらりと並び、入口では客を呼び込む木戸芸者の声が響きわたり、見物客の気分を盛り上げます。明け六つから暮れ六つまで(6~17時頃)上演される舞台を、庶民は桝席で、裕福な上客は桟敷席で、贔屓の役者に熱狂し、菓子や弁当を食べながら一日中楽しみました。
歌舞伎の人気にともない、役者の舞台姿を描いた浮世絵が飛ぶように売れました。似顔で表された役者絵は現代のブロマイドで、さらには楽屋や稽古中の素顔も描かれ、ファン心理をくすぐります。また、団扇にして携帯する団扇絵や、切って組み立てて遊ぶ組上絵、双六といったおもちゃ絵など、いわゆる役者絵グッズも人気を集めました。
このたびの展覧会では、役者の姿絵をはじめ、一大歓楽街であった芝居町のにぎわいや芝居小屋の裏方の様子を伝える浮世絵も紹介します。人々を夢中にさせた江戸の歌舞伎の世界をお楽しみください。