Gallery 舞台裏では、森夕香による個展「ほどけるギフト」を開催いたします。

流れるような輪郭と溶け出すような色彩によって描かれる人物や植物は、ともに絡み合い、時には背景とも融合し、一体となって画面に現れます。幼少期から豊かな自然に囲まれて育った森は、大学で学んだ日本画の技法を用いて、身の回りの植物や人々を描いてきました。自分自身と自らを取り巻く世界を隔てる身体という境界をなくして混ざり合うことをイメージした時に、安心感や心地よさを感じたという経験から、内と外、自己と他者、人間と自然などを二項対立としてではなく、ひとつの流体として捉えるようになりました。ダンスをしていた経験から身体に強い関心を抱くようになり、その視点は人体のみならず、植物や空間の身体性にも向けられています。

今回の個展では、キッチンスペースを備えたGallery 舞台裏の空間に注目し、食べるという行為や身体に対する考察を散りばめた新作を展示します。摂食とは、外部のものを体内に取り込むことであり、食材を調理するキッチンは身体器官の一部であるとも言えるでしょう。展覧会タイトルのほどけるという言葉には、あるものが分解されて別のものに変化するという意味があり、ギフトという概念には他者の存在が不可欠です。作品を通じて、他者を分解して自らの中に取り込み、それがまた別の者に取り入れられていくという一連の生の循環が浮かび上がります。

有機的な線と柔らかなトーンからは、生命の持つエネルギーが、静かに、しかし生き生きと伝わってきます。ぜひ会場で、森の絵画に宿る体温を感じてみてください。