四季おりおりに咲く花々をはじめとする植物は、私たちの眼を楽しませ、心を和ませてくれます。中国では古くから、花木におめでたい意味(吉祥)や、理想の人間像を重ねつつ、人物や禽獣たちを伴わせ、瓶にかざり、野にある姿で表すなどして、多彩な絵画や工芸を生み出しました。それは広く東アジアにも伝わり、それぞれの国で豊かに発展しました。こうした花木を愛でる思いは、19~20世紀の中国で、古代の青銅器や石刻を研究する「金石学」とむすびつき、「花博古図(はなはくこず)」とよばれる特殊な絵画の流行をうながします。それは長い歴史の中で育まれた花卉図の構成や描法と、古の時代に関する研究の蓄積・憧憬が生み出した、まさに時代の華といえるでしょう。
本展観では、中国、日本、朝鮮半島、琉球で制作された花木をモチーフとした作品とともに、東アジアの「博古趣味」をうかがわせる美術や書籍、そして「花博古図」の世界をご覧いただきます。